乳幼児期にかかりやすい感染症
こども園・保育園では、保育所保育指針に基づいて子どもの健康増進や疾病等への対応と予防を行っています。乳幼児が長時間にわたり集団で生活する保育所では、抵抗力が弱く、身体の機能が未熟である乳幼児の特性等を踏まえ、感染症に対する正しい知識や情報に基づき適切に対応することが求められます。
個人だけでなく、集団全体の健康と安全を確保するため、感染症の侵入防止に努めるとともに、感染した場合、流行を最小限にすることを目標として対策を行わなければなりません。そのため、体調不良時は必ず受診するとともに、お子さんが感染症と診断されたら、保育園までご連絡ください。そして下記の表を参考に、医師の意見書や登園届の提出をお願い致します。
意見書(医師記入)
登園届(保護者記入)
<医師の意見書が必要な感染症>
*症状が回復し、かかりつけ医に集団生活に支障がないと判断され、登園を再開する際は、「意見書」(医師記入)を提出。
病名 |
感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 備考 |
---|---|---|---|---|
麻しん(はしか)※ |
飛沫感染 |
8〜12日 |
高熱、咳、鼻水、結膜充血、目やに等の初期症状がみられる。発熱は一時下降傾向を示すが、再発熱時に口の中に灰白色の斑点ができる。その後顔や頸部に発しんが出てくる。発しんは赤みが強くやや盛り上がっている。 |
感染力が非常に強い。 |
インフルエンザ※ |
飛沫感染 |
1〜4日 |
突然、高熱が出て3〜4日続く。頭痛とともに咳、鼻汁で始まる場合もある。倦怠感、食欲不振、関節痛、筋肉痛等の全身症状や喉の痛み、咳、鼻汁などの症状がみられる。 |
急激に発病する。全身症状が強い。 |
風しん |
飛沫感染 |
16〜18日 |
発熱を伴った発しんで発病する。発しんは一般に軽度で、全身に出現する。首や耳の後ろのリンパ節が腫れ、押さえると痛い。 |
妊娠初期の妊婦がかかると、胎児に影響を与える率が高い。 |
水痘 |
飛沫感染 |
14〜16日 |
発しんが体や頭部、顔面に出現する。発しんは丘しん、水疱、膿疱、かさぶたの順に変化する。かゆみや痛みがある場合もある。 |
感染力が強い。発しん部分からの二次感染や肺炎、脳炎、肝炎等の合併症がある。 |
流行性耳下腺炎 |
飛沫感染 |
16〜18日 |
発熱と唾液腺(耳下腺(耳の下)・顎下腺・舌下腺)の腫れ(片側または両側)と痛みが主症状である。腫れと痛みの症状は3〜7日で消える。 |
髄膜炎、難聴、脳炎・脳症、精巣炎・卵巣炎等の合併症がある。 |
結核 |
空気感染 |
3ヶ月〜数10年 |
発熱、咳、易疲労、食欲不振、顔色が悪いなどがみられる。 |
感染後2年以内、特に6ヶ月以内に発病することが多い。 |
咽頭結膜熱※ |
飛沫感染 |
2〜14日 |
高熱、喉の痛み、結膜炎症状(結膜の充血、眼痛、目やに、涙目など)がみられる。 |
病原体→アデノウィルス 特に夏季に多い。感染力が強い。 |
流行性角結膜炎 |
飛沫感染 |
2〜14日 |
目の充血、目やにが主症状である。 |
|
百日咳 |
飛沫感染 |
7〜10日 |
特有の咳が特徴で長期間続く。咳は夜間に強く、咳とともに嘔吐することもある。発熱することは少ない。 |
乳児の場合、無呼吸発作、肺炎、中耳炎、脳症の合併症が起こりやすい。 |
腸管出血性 |
経口感染 |
10時間〜6日 |
症状のないものから下痢(水様便)、腹痛、血便が様々な程度で現れる。 |
夏季に多い。少量の菌でも感染する。予防は、手洗いの励行、消毒(トイレ等)、食品の加熱及びよく洗うこと。(生の牛肉を介して感染する為、生肉は食べない)二次感染にも注意が必要。 |
急性出血性 |
接触感染 |
平均24時間〜2〜3日 |
強い目の痛み、目の結膜の充血、結膜下出血、目やに、角膜の混濁等の症状がみられる。 |
目やになどの分泌物に触 |
侵襲性髄膜炎菌感染症 |
飛沫感染 |
4日以内 |
発熱、嘔吐、頭痛等の症状がある。急速に重症化することがある。 |
難聴、まひ、てんかん等の後遺症が残ることがある。 |
※必ずしも治癒の必要はありません。意見書は症状の改善が認められた段階で記入することが可能です。
<医師の診断を受け、登園届が必要な感染症>
*登園のめやすを参考に、医師の診断に従い、「登園届」(保護者記入)を提出。
病名 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 登所の目安 |
---|---|---|---|---|
溶連菌感染症 |
飛沫感染 |
2〜5日 |
発熱、喉が赤くなり腫れて痛いなど、咽頭炎・扁桃炎の症状、とびひ、中耳炎、肺炎が主で、舌がイチゴ状に赤く腫れ、全身に発しんが出る。 |
抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること。 |
マイコプラズマ 肺炎 |
飛沫感染 |
14〜21日 |
咳、発熱、頭痛等の初期症状がゆっくり進行する。咳が徐々に激しくなり、数週間、持続することがある。中耳炎や発しん等を伴い重症化することがある。 |
発熱や激しい咳が治まっていること。 |
手足口病 |
飛沫感染 |
3〜6日 |
発熱、口や喉の粘膜に痛みのある水疱ができる。手のひらや指、足の裏、お尻にも水疱がみられる。 |
全身状態が安定し、発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること。 |
伝染性紅斑 |
飛沫感染 |
4〜14日 |
発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛等の軽微な症状がみられる。3〜4日後、頬が赤くなったり手足にレース状の紅斑が出現する。日光に当たったり入浴すると発しんが再発することがある。 |
全身状態が良いこと。 |
ウイルス性胃腸炎 |
飛沫感染 |
12時間〜 |
嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられる。脱水を合併することがある。感染力が強く、少量のウイルスで感染する。 |
嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること。 |
ヘルパンギーナ |
飛沫感染 |
3〜6日 |
発症初期に高熱、喉の痛み等の症状がみられる。また、咽頭に赤い粘膜しんがみられ、水疱(水ぶくれ)ができ、潰瘍となる。 |
全身状態が安定し、発熱や口腔内の水疱、潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること。 |
RSウイルス感染症 |
飛沫感染 |
4〜6日 |
呼吸器感染症で、乳幼児期に初感染した場合の症状が重く、特に生後6ヶ月未満の乳児は重症化しやすい。一度の感染では終生免疫を獲得できず、再感染、再々感染した場合、軽い咳や鼻汁等の症状がみられる。 |
呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと。 |
帯状疱しん |
接触感染 |
不定 |
小水疱が(肋間)神経にそった形で現れ、軽度の痛みやかゆみを伴う。 |
全ての発しんが痂皮(かさぶた)化していること。 |
突発性発しん |
確定されていない |
9〜10日 |
突然の高熱で始まる。3〜4日後に熱が下がり、同時に発しんが出現する。熱性けいれん、脳炎・脳症、肝炎等を合併することがある。 |
解熱し機嫌が良く全身状態が良いこと。 |
<子ども園・保育園において特に適切な対応が求められる感染症>
*下記の症状が見られた場合、医師の診断に従い治療するとともに保育園に連絡。
病名 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 備考 |
---|---|---|---|---|
アタマジラミ症 |
頭髪に |
10〜30日 |
卵は頭髪の根元近くにあり、毛に固く付着して白く見える。フケのように見えるが卵の場合は指でつまんでも容易に動かない。3〜4週間後に頭皮にかゆみがでてくる。引っかくことにより二次感染が起きることがある。 |
頭髪に直接接触したり、体や頭を寄せ合うことで感染する。寝具やタオル、帽子、くし、ヘアゴム等の共用はしないこと。※駆除証明書が必要です。 |
疥癬 |
人から人 |
約1ヶ月 |
丘しん(発しんが皮膚面から隆起した状態)、水疱、膿疱、しこり等、かゆみの強い発しんができる。手足等には線状の隆起した皮しんも見られる。男児には陰部にしこりができることがある。特に夜間、かゆみが強くなる。 |
手を介して感染することもあるため、日常的に手洗いを励行すること。下着は毎日、交換すること。 |
伝染性軟属腫(水いぼ) |
接触感染 |
2週間〜 |
水がたまったようないぼがある以外の症状は、ほとんどない。いぼの中にウイルスが充満している。軽度のかゆみがある。 |
掻きこわし、傷から浸出液が出ている時は被覆すること。接触感染のため日常的に手洗いを励行すること。 |
伝染性膿痂疹 |
接触感染 |
2〜10日 |
水疱や膿のある発しんができ、かゆみがある。病巣は急速に広がる。 |
皮しんが乾燥しているか、湿潤部位が被覆できる程度のものであること。 |
B型肝炎 |
感染者の血液が傷口から体内に入ることで感染が起こりうる |
急性感染では45〜160日 |
ウイルスが肝臓に感染し、炎症を起こす。急性肝炎と慢性肝炎がある。 |
HBVへの感染の有無に関わらず、血液や体液で感染する病気の予防のために、誰のものであっても血液や体液に、直接接触しないような注意が必要。 |
※上記の他にも様々な感染症があり意見書や登園届が必要な場合もありますので主治医の指示に従ってください。ご不明な点がありましたらこども園へご相談下さい。